工種:解体工事

工事の地域:大阪府四條畷市

建物の種類:住居棟(RC造・一部スレート葺木造)

 

今回紹介するのは、前回の記事にて「事務所棟と倉庫」を解体した敷地内にある、中庭の撤去と住居棟の解体工事です。

 

前回、重機での作業の効率化を考え、最後に荒整地を行いました。

今回の写真にはありませんが、中庭の植栽をチェーンソーで伐採し、更なる作業効率化を図っています。

今回の作業の注意点:周囲の建物や住人への配慮を徹底する

今回、住居棟の解体時に工夫が必要だったのが、隣地境界線を大きくはみ出した「ひさし」の撤去です。

住居棟に隣接した位置に、施主様が所有するハイツがあり、そのハイツの壁面スレスレまで、住居棟の「ひさし」が出ていました。

作業内容の紹介時に詳しい作業工程を解説します。

スレートの取り扱いは、前回同様丁寧に行った

前回の「事務所棟・倉庫の解体作業」でも「スレート(カラーベスト)」の取り扱いには、かなり気を付ける必要があることを説明しました。

今回の住居棟の一部でも、前回と形状は異なりますが、スレートが使用されていたため、解体時の取り扱いには十分に気を付けて作業を行っております。

中庭の撤去・住居棟解体の流れと各工程における注意点

それでは、今回の作業内容を順を追って紹介していきます。

【1】中庭の撤去と荒整地を重機で行う

まず初めに、中庭の庭石や、人工池などを解体・撤去していきます。

冒頭でも説明しましたが、植栽はあらかじめ手作業ですべて伐採しています。

 

中庭は、いわゆる本格的な日本庭園という印象でした。

庭石だけでなく、灯篭などもあったため、すべて重機で撤去しています。

 

また、大型の庭石に関しては、重機のアームで押して、作業の邪魔にならない場所に移動させています。

後日、撤去のために、破砕機で細かく砕きました。

中庭の解体と簡易的な撤去をした後、重機を使って荒整地を行いました。

【2】住居棟周りに足場を2重設置

住居棟の解体に移る前に、足場を設置していきます。

普段の解体工事では、丸太の足場で十分なことが多いのですが、今回は少し高くなった位置に建屋があること、住居棟解体の後には、石垣を含めた外構の解体工事もあるため、2重に足場を組むこととしました。

外側は単管パイプ製の金属足場で頑丈にする

丸太製の足場を支えるという意味でも、より安定性のある、金属製の足場を外側に組みました。

また、この金属製の足場には道路と現場の境界線を示す役割もあります。

丸太製足場の頂上には、安全帯を付けるための綱を十字に取り付けて足場を補強

丸太製足場の頂上は、この後の屋根解体作業時に使う安全帯を取り付けるための綱を十字に取り付けて、足場を補強しています。

高所になると、風の影響も受けやすくなるので、万が一にも足場が倒れることがないようにしました。

Point:道路側にがれきが落ちないように、ベニヤ板で養生

足場を組む際に、一つ工夫を施した点があります。

それは、がれきが落ちないようにベニヤ板で養生することです。

後ほど、ひさしの解体部分でも詳しく解説しますが、がれきが外に落ちてしまう可能性があったため、ベニヤ板で隙間を完全に埋めています。

【3】スレート葺の木造部分を手作業で解体していく

写真が前後しますが、まずはスレート葺の木造部分を手作業で解体していくこととしました。

屋根材のスレートは取り扱いを慎重にしないといけないので、重機では解体できないこと、足場を何度も組みなおしすると時間がかかってしまうことなどがあり、スレート葺の木造部分に関しては、すべて手作業で解体していくことにしました。

Point:スレート(カラーベスト)は、割れたり欠けたりすることが無いように、慎重に剥がす

スレートには、人体に有害な「アスベスト」が含まれていることがあり、スレートが割れたり欠けたりしてしまうと、周辺に舞い散ってしまいます。

そのため、割れないように慎重に剥がした後は、密封できる袋に入れて搬出しました。

屋根の解体後は、建屋部分の解体に移ります。

敷地が狭い場合、解体資材を直接落とすことはしないのですが、今回は中庭に広いスペースがあるので、防音シートを開き、そこから資材を落としていく方法をとりました。

【4】足場を組みなおし、重機でRC造部分を解体していく

木造解体時に組んだ足場を組みなおし、重機でのRC造建屋解体を始めました。

アタッチメントは、コンクリートを砕くことが出来る「大割り」を使い、少しずつ砕いていくように解体していきます。

特に変わった点はなく、住居棟の半分の解体が終わりました。

この後、鉄筋とコンクリートガラを分別して、搬出しました。

【5】隣地境界線を越えた「ひさし」を手作業で除去

冒頭でも触れた、隣地境界線を大きくはみ出した、ひさしの撤去を手作業で行っていきます。

写真では少しわかりにくいですが、左側にはあるのが施主様が所有するハイツです。

ひさしを撤去するために、ベニヤ板で養生します。

コンクリートガラが、ハイツ側に飛ばないよう、防音シートなども張り、万全の状態を作ってから、解体を始めます。

エアチッパーという電気工具で「ひさし」を除去した後は、ベニヤ板の上に散ったコンクリートガラを撤去しました。

【6】残りのRC造建屋を重機で解体していく

ひさしの撤去が終わったら、残りの住居棟を重機で一気に解体していきます。

重機を2台に増やし、作業効率をあげて解体と搬出を並行しました。

緑色の重機には、先ほど使っていた大割りというアタッチメントを取り付けて、住居棟を解体し、オレンジ色の重機にはパクラ—というアタッチメント取り付けて、コンクリートガラを細かく破砕します。

写真奥に見えている黄色の重機は、手前二つに比べて小型の重機です。

足場に近いところや、大型の重機ではできない細かい部分の作業を行います。

【7】外構解体工事のために荒整地を行い、住居棟の解体は完了

住居棟の解体が一通り終わったら、最後に荒整地を行って、作業完了です。

後日、外構解体工事を控えており、その際に土を掘り起こすのですが、その際の作業効率などを考えて、荒整地を施しておく必要がありました。

まとめ:気を抜くことなく、最大限の配慮をもって作業します

今回、安全面はもちろんのこと、周囲への配慮を第一に考えて作業を進めました。

例えば足場の高さでは、道路側にあるお家が3階建てだったために、少し撤去のタイミングを遅くしたり、ひさし部分や、道路に面している部分の解体時には、がれきが隣地境界線を越えて出ないようにベニヤ板で養生したりしました。

タイミングを見ながら適宜重機作業と手作業を入れ替えて、少し時間がかかっても、その中で「どうすれば効率的に作業できるか」「どうすれば安全に作業できるか」を見つけていきます。

そうして、安全第一で周囲への配慮を怠らない工事をしていきます。

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