今回紹介するのは、駐車場にあるコンクリートブロック壁を改修した事例です。
駐車場の管理人様より「駐車場のコンクリートブロック壁が崩れた」と、施主様に報告があり、今回のご依頼に至りました。
コンクリートブロック壁改修工事は作業順序に気を付ける|作業場を5区画に分けて崩れないように作業した
今回の現場は、壁よりも高い位置にお家が建っていたため、作業順序によっては崩落してしまう可能性が考えられました。
崩落の可能性を無くす工夫として、作業場を5区画(A地点~E地点)に分け、A→C→E→B→Dの順で作業を行っていきました。
コンクリートブロック壁は、経年で劣化する|数十年も経つと自然に崩れることもある
そもそも、コンクリートブロック壁は経年で劣化するものです。
今回お伺いした現場のコンクリートブロック壁は40年ほどメンテナンスされておらず、自然に全壊してしまう可能性すらありました。
人の手で建てたものなので、定期的なメンテナンスは欠かせません。「前回いつやったのかがわからない」という場合は、なるべく早めのメンテナンス、もしくは改修・補修工事をオススメします。
崩れた原因は「地盤」|改修工事作業中に発覚
作業紹介の部分で詳しく紹介しますが、今回コンクリートブロック壁が崩れてしまった原因は、地盤の弱さにありました。
古くから住宅街になっている土地は、地中にレンガや瓦の瓦礫が埋まっていることがあり、それが原因で地盤が緩くなっていることがあります。
雨などで地盤が徐々に緩んでしまい、コンクリートブロック壁が崩れてしまった可能性が高いです。
今回、それを全て手作業で掘り起こし、地盤を強くするための作業も行いました。
コンクリートブロック壁改修工事の作業内容
それでは、今回の作業内容を紹介いたします。
【1】コンクリートブロック壁上のフェンスを撤去しつつ、電気水道などのチェック
コンクリートブロック壁の解体前、お庭を間仕切るためのフェンスがありましたが、コンクリートブロック壁改修を行うために撤去しています。(写真は撤去後のもの)
また、この後土を掘り起こしながら、土留めを作るためのH鋼(鉄柱のようなもの)を組んでいく作業を行っていきます。
どの部分までを掘り下げるのか決めるために、排水管や電線が埋まっていないかを確認しました。
区画分けに関しても、この時点で完了しています。
【2】A地点に土留めの骨組み(H鋼)を設置
作業中に土が崩れないように「土留め」という土を支えるための構造物を設置していきます。
作業内容としましては、H鋼というアルファベットの「H」の形状をした鉄柱を地面に等間隔に差し込み、そのH鋼の間に板をはめ込んでいく作業になります。
この土留めは作業の安全上、今回の改修工事の要(かなめ)ともいえる部分なので、ずれや差し込みが緩くなっている部分がないかを常時チェックしながら作業を進めていきました。
【3】雨で土が緩くならないよう養生しつつ、土留めを完成させる
雨の多い時期でしたので、雨が降って土が緩くなり崩れてしまう可能性がありました。そのため、ブルーシートで養生しつつ、A地点の土留めを完成させていきます。
H鋼で組んだ骨組みに厚さ5㎝のかなり分厚い板を差し込みました。
土留めが完成したら、残していたコンクリートブロック壁の根元部分を解体し、A地点の解体が完了となります。
【4】ランマーで地固めし、基礎となるコンクリート打設
解体したコンクリートガラの搬出が終わったら、ランマ―という機械で地面を均していきます。
地面の中に入った空気を抜くことで、地盤がより強くなります。
続いて、コンクリートを打設する部分に鉄筋を組みます。
鉄筋にズレがあると、コンクリートが割れやすくなってしまうこともあるため、逐一ズレがないかを確認しながら作業を進めました。
コンクリートを打設し、A地点の擁壁基礎は完成です。
【5】C地点の土留め作成とコンクリートブロック壁基礎作成
続いて、B地点を飛ばして、C地点の作業に入ります。
Point:B地点をあえて飛ばした理由は「土や既存のコンクリートブロック壁にかかる負荷を分散させるため」
今回、作業を進めるうえでB地点を後回しにした理由なのですが、A地点から順番にやっていくと、土が自重に耐えきれず崩れてしまったり、既存のコンクリートブロック壁が倒れてしまう可能性があったからです。
まずは、土の重さを分散して支えるために土留めを組み、その後基礎を打設していくという流れをとり、作業を進めました。
冒頭でも説明したように、今回の現場の地盤には、瓦などの破片が大量に混ざった地層がありました。
恐らくこれが原因で、既存のコンクリートブロック壁が崩れてしまったのでしょう。
改修後に同じことが起こらないよう、手作業でこの地層を掘り起こして撤去しました。
A地点と同じ流れ(ランマ―による地固め→鉄筋組み→コンクリート打設の順)で、C地点のコンクリートブロック壁基礎の打設を行いました。
【6】A,C地点に重力式擁壁の木枠を作成|E地点の擁壁は面積の関係で重力式擁壁を避けることにした
A地点及びC地点に重力式擁壁を建設するための木枠を設置しました。
一方E地点の擁壁は、以前と同じL型擁壁にしています。
重力式擁壁は奥行きの幅が大きく、面積が広くとれない場所には建設できません。
作業場の奥(写真右奥)にガレージがあり、重力式擁壁を建てられる広さが確保できなかったため、E地点のみL型擁壁を建てることとしました。
【7】A,C,E地点の擁壁木枠にコンクリートを打設し、3地点の擁壁が完成
ここからは、A,C,E地点の擁壁木枠にコンクリートを打設していきます。
空気が入らないように、バイブレーターで振動を与えて空気を抜きながらコンクリートを流し込んでいきました。
E地点にも同様に木枠を組み、コンクリートを打設したら、A,C,E地点の擁壁基礎は完成となります。
【8】完成した擁壁基礎(A,C,E地点)の土を埋め戻し
A,C,E、3地点の擁壁基礎完成後は、土を埋め戻していきます。
土留めの取り外しはまだ行いませんが、しっかりと踏み固めながら埋め戻しました。
埋め戻しが終わった部分には、木の板を被せて養生します。
ブルーシートと同様に、雨水を避ける役割があります。
【9】B,D地点の擁壁を改修し、擁壁の下地が完成
ここからは残るB,D地点の擁壁を改修していきます。
作業の流れとしては、A,C地点と同じ流れです。
まず初めに、既存の擁壁を崩しながら土留めを作り、その後、鉄筋コンクリートで基礎を打設。最後は木枠を組んでコンクリートを打設し、擁壁の下地を作りました。
コンクリートが固まったら木枠を外して土を埋め戻し、擁壁の下地が完成となります。
【10】擁壁(下地)の上にコンクリートブロックを積んでコンクリートブロック壁改修工事が完了
以降はブロック業者と連携し、完成した重力式擁壁の上にコンクリートブロックを積んでいきます。
スムーズに作業が進み、コンクリートブロック壁が完成しました。
改修工事はこれで完了ですが、この後フェンスの取り付けや、施主様宅のお庭の調整などを行う予定となっています。
まとめ:メンテナンスは定期的に行うことがオススメ
今回、駐車場のコンクリートブロック壁の改修工事を行いました。
冒頭でも説明しましたが、コンクリートブロック壁は経年による劣化で自然に崩れてしまうことも珍しくありません。
壁の多くは隣地境界線付近に建っているため、崩れてしまうことでご近所トラブルに発展してしまうこともあります。
コンクリートブロック壁の寿命は30年~50年とも言われていますが、昨今、台風や地震などの影響で、脆くなった壁はより崩れやすくなっていると考えられます。
被害やトラブルが発生する前に、一度メンテナンスを依頼してみてはいかがでしょうか?
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