工事の種類:両面切り離し解体工事
工事の地域:大阪市阿倍野区
建物の種類:木造2階建て住宅 (6軒並びの真ん中4軒)
施工面積:約200㎡
大阪市阿倍野区で、木造2階建て住宅の切り離し解体工事を行いました。
木造住宅は6軒続きで、うち真ん中の4軒が解体対象なので、解体範囲の端と端、両面の切り離しを行う必要がありました。
片面のみの切り離し解体工事でも、切り離す側(解体しない側)の屋根や外壁を絶対に傷つけないように集中して作業を進めますが、今回は両面切り離しなので、より切り離しに集中する時間が長く大変です。
また、今回の解体現場は「手前の道路の幅が狭いこと」や「手前の道路が一方通行であること」、そして「付近に商店街があり歩行者・自転車の通行量がかなり多いこと」という、工事をより慎重に進めなくてはいけない条件がいくつも揃っていました。
以下では、大掛かりな両面切り離し解体工事の流れを取り上げます。
放置された植栽が森のように生い茂っていたので、最初の解体箇所まで到達するのにひと苦労
この写真では、すでにブロック塀の撤去が完了しています。
ここからさらに敷地内の建物に向かって進んでいく必要がありますが、上の写真で見ての通り、植栽がかなり生い茂っています。
植栽は放置されてから何十年も経過し、背は高く伸びて枝も無造作に広げており、今や木造住宅を隠す森のようでした。
道幅が狭い、歩行者・自転車が多いなどの都合上、道路に作業車を停めることはできないため、なるべく早く解体工事の作業スペースを確保する必要があります。
そのため、うっそうとしている大量の植栽を手際よく伐採・撤去し、ひと苦労して建物にたどり着いたら、やはりまた手際よく、作業スペースになる部分の解体を優先して進めていきました。
作業車をおさめるためのスペースを優先して確保
少し写真がぼけてしまって分かりづらいかもしれませんが、植栽の撤去が完了し、木造住宅の一部の解体もひと段落して、重機が余裕を持って入れるくらいのスペースが確保できています。
ただ、今回の木造住宅解体工事でメインで使用するのは、上の写真に写っている重機ではなく、十分にスペースが確保できたところ、もうひと周り大きな重機と交代します。
1つ前の写真よりもう少し奥の方まで、木造2階建て住宅の解体工事が進んだ様子です。トラックも余裕を持って入れる状態になり、序盤の関門がクリアできたと言ったところでしょうか。
ここで、ここまで稼働させた小型重機を引き上げ、解体のメイン火力となる大きな重機を入れます。
木造住宅は築年数が古く、柱などの劣化が進んでいたので倒壊には細心の注意を払う
今回の木造住宅切り離し解体工事で主力となる、大きな重機をようやく解体敷地内におさめることができました。
なぜわざわざ、重機を入れ替える必要があったのか、それは”家の構造”に理由があります。
築40~50年と見られる木造住宅は、「昔ながらのお家」と言っても差し支えないでしょう。
昔ながらのお家は”2階建て”とされていても、2階の上にさらに屋根裏を広く作っていることがよくあり、そうした住宅は背が高くなります。
そして序盤で使っていた小型重機では、2階よりの上のほうへはアームを届かせづらく、解体の効率が落ちてしまいます。
そのためアームがより長く伸び、解体をスムーズに進められる大きな重機と入れ替えたのです。
大きな重機を使うと作業のスピードアップは図れますが、もちろん安全面には最大限気を付けます。
特に今回は築年数が経過し、柱もあちこち脆くなっていたため、そうでない住宅よりは倒壊のリスクが高いことを念頭に置いて、慎重に作業を進めました。
縁切り、木造住宅の解体、もう一面の縁切り、木造住宅の残りの解体の順に工事は進んでいく
木造住宅の解体工事の流れを大まかに並べると、下記のようになります。
【1】屋根瓦の撤去
↓
【2】片面の縁切り
↓
【3】木造住宅を約半分解体
↓
【4】もう片面の縁切り
↓
【5】木造住宅の残りを解体
↓
【6】建物部分の解体完了
両面の縁切りを2面まとめて行わないのは、完全に木造住宅を解体し終えるまで、強度を保たせておくためです。
先述したように、木造住宅は経年劣化が進んでいるため、2面まとめて先に切り離してしまうと、切り離された木造住宅の自立性が危うくなる可能性がありました。
建物がグラグラしないように、ある程度解体が進むまでは、もう片面の切り離しはしないで、残す住宅とくっつけておくのです。
また、古い木造住宅であるからこそ、埃も多く出ることが容易に予想できました。近くにお住まいの方、近くを通る方に迷惑がかからないように、念入りに散水作業を並行しています。
散水は近隣住人さんへの配慮であると同時に、私たち作業員が埃を大量に吸い込んで健康に悪影響が出ないようにという、自衛でもあります。
地中に埋まっている基礎(レンガ)をすべて掘り起こし撤去
木造住宅の建物部分の解体完了後は、地中基礎の撤去に移りました。
地中基礎は、レンガで造られていました。昔ながらの住宅基礎でまれに見られる構造です。
今回のレンガ基礎は、途中で破砕などの工程を挟まなくても、運搬に困らない程度の大きさまで自然にばらけてくれたので、撤去完了までの作業はスムーズに進みました。
整地後は、残した住宅の外壁補修のために必要な足場を準備して工事完了
木造住宅の下に埋まるレンガの撤去完了後は、掘った土を埋め戻し、締固め等の整地を行いました。
この次は、切り離して残った住宅の外壁の補修作業が行われます。
解体工事の範疇としては、外壁補修に必要となる丸太足場を組み直して、すべての工程が完了です。
今回行った木造住宅の両面切り離し工事は、切り離されて残る住宅を絶対に傷つけないことと、近隣住民さんに迷惑をかけないことが徹底されていました。
残す家の屋根瓦を踏んで割らない、外壁に重機などをあてない、散水時の水が近くの家へ飛び散らないようにする(※1)など、とにかく周囲にはよく目を配りました。
(※1 屋根瓦など何らかのすき間から、水が入りこんで水漏れさせたり、湿気で傷みを与えることを防ぐため)
また、木造2階建て住宅の両面切り離し解体工事中は、側溝の様子をこまめにチェックしました。
解体現場の側溝は、住宅地一帯における上流に位置していました。万が一、側溝に土などが詰まって水が流れなくなってしまうと、現場より下流の水も流れないことになってしまうことになります。
そのため水が詰まることがないように、側溝をきれいに掃除しながら、各工程を進めていきました。
それぞれの作業員が常に注意深く動けた結果、今回の大掛かりな木造住宅の切り離し解体工事は、無事に何の問題もなく完了したので、良かったです。
大阪市阿倍野区で木造住宅の両面切り離し解体工事を行うなら、阿川建設にお任せください。