工種:解体工事
建物の種類:木造2階建ての文化住宅
施工面積:170㎡
今回、大阪府寝屋川市にて、アーケードとその先にある文化住宅の解体工事を行いました。
作業全体の注意点:交通量などを考慮し、搬入出には細心の注意を払った
今回の工事現場は、住宅地の中にありました。
更に、近くには学校や駅があるようで、通勤・通学ラッシュになる時間帯には歩行者の数も多くなることが考えられます。
作業にはかなり注意しながら進めていくこととしました。
また、現場の横には飲食店があったため、解体時にほこりなどが舞わないよう頻繁に散水しつつ、解体を進めていく必要があります。
文化住宅解体工事の流れと各工程におけるポイント
それでは、今回の文化住宅解体工事の流れと、各工程におけるポイントを順をおって紹介していきます。
【1】搬入出経路確保のためにアーケードを手作業で解体
まず、今回現場を下見した際に驚いたのが、上記写真のアーケードです。
柱が数本立っているのですが、これによって搬入出に使用する車両が入れないほど狭くなっています。
そのままでは、奥にある住宅の解体ができないので、アーケードの解体を手作業で行っていくこととしました。
ポイントその1:左側の犬走は防護シートで養生して通行可能にした
今回の現場は、かなり隣や奥の家と密接しており、写真奥に見える文化住宅の左隣にも住宅がありました。
その住宅にお住いの方が安心して通行できるように、アーケードの柱を支えにして防護シートを張り、養生しています。
移動式の足場を組んで、アーケードを解体していきます。
鉄柱の切断時にはガスカッターを使うことがあるのですが、今回建物が密接していたり、付近に電線が通っているので火災につながる可能性がありました。
そのため、レシプロソーという電動ノコギリで解体作業をすることにしました。
【2】アーケード解体後、屋根瓦と屋根板を半分撤去
アーケードの解体が完了したら、屋根全体の半分を解体します。
ポイントその2:屋根を半分だけ解体することは珍しくない
搬入出経路の確保が難しい場合、作業スペースや搬入出経路を広げながら解体を進めることがあります。
屋根の瓦をすべて撤去しようとすると、作業に時間がかかってしまうので、半分ずつ解体して時間短縮を狙いました。
【3】重機を搬入し、屋根を撤去した部分の解体を進めていく
屋根の解体後、まずはスペースがない中でも解体作業が出来るように、小型の重機で解体していきます。
ある程度スペースが出来たタイミングで、大型の重機と入れ替えて一気に解体を進めていきました。
重機での作業時は、手作業に比べてほこりが多く舞ってしまうため、十分に散水して湿潤しながら作業を進めます。
ポイントその3:柱や梁が一部腐敗してもろくなっていたので解体順序には気を付けた
古い文化住宅でしたので、一部柱が腐敗しているところがありました。
そのため、解体順序等には気を付けて、建屋が倒壊しないよう慎重に作業を進めています。
重機での解体開始時に残していた半分の屋根瓦を撤去して、重機で解体を進めていきます。
作業スペースも確保できており、解体・搬出共にスムーズに進めることが出来ました。
【4】土間と基礎部分を重機2台で解体していく
建屋の解体が終わると、重機が2台で作業できるほどのスペースが出来ました。
そのため、作業効率を上げるために重機を2台に増やし、解体・積み込みを並行して進めていきます。
建物が大きくなるにつれて、基礎もそれを支えるために、大きくなっていきます。
今回は比較的基礎が大きかったので、仕分けと搬出をスムーズに行うため、アイヨンというアタッチメントで鉄筋コンクリートの基礎を細かく砕きながら、解体を進めました。
土間解体の際には、解体した建屋の両隣の建物との境界線を、電気工具で縁切りして、通路の土間も解体しています。
ポイントその4:隣地境界線は常に意識する
密接した住宅地では、隣地境界線を越えないことが大切です。
隣のお家の土地にあるものまで解体してしまうわけにはいかないので、解体時には、あらかじめ隣地境界線付近に墨入れ(線引き)をしておき、目印をつけておきます。
墨入れは、解体する建物がある土地側に10cmほど入った場所に施し、隣地境界線の向こう側を誤って解体してしまわないように余裕を持たせて行います。
【5】整地をして解体作業が完了
基礎の解体と、解体資材全ての搬出が完了したら、最後に整地を行って、今回の解体工事は完了となります。
隣地の犬走もきれいに残して解体することが出来ました。
まとめ:一見難しい現場でも、工夫をしてしっかりと施工する
今回の現場は長い間放置されていたようで、建物も劣化している部分が数か所ありました。
無事故で安全な作業をするために、危険が伴う作業は時間をかけて慎重に行い、スピードを上げて作業できる部分は、重機を増やすなどして、しっかり工期内に工事を終わらせることを心がけています。
交通量の多い場所では、他の人にも危害が及ぶ可能性があるため、普段以上に周囲に気を配る必要もあり、一挙手一投足に細心の注意を払いました。
今回は、周囲への気配りが欠かせない現場でしたが、何事もなく解体工事を終えられてよかったと思います。
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