工事の種類:解体工事
工事の地域:堺市北区
建物の種類:地下ガレージ付き2階建て住宅(トータル3階建て)
建物の構造:鉄骨造
施工面積:約112㎡
大阪府堺市にある、鉄骨造の住宅の解体工事を行いました。
正面から見ると2階建ての大きな住宅のように見えますが、実は地下にガレージがあります。つまり、実質的には3階建ての住宅です。
急勾配の坂道の途中に建っている住宅で、地下ガレージの土間と1階の床(正面道路と同じ高さ)の高低差が、最大3mもあります。
ここまでの高低差がある住宅はめずらしいので、どういう方法で解体を進めていけば適切なのか、最初に工事の流れを固めるまでに、かなり頭を悩ませました。
以下では、そんな変わった立地条件にあるトータル3階建て鉄骨造住宅の解体工事の流れを、順を追って紹介していきます。
水道管を仮設・迂回させた後、大型重機が入るスペースを確保
解体する敷地内には、付近の住宅と共通の水道管が通っていました。
そのためまずは、仮のパイプを繫ぎ、解体範囲の外へ水道管を迂回させます。
上の写真は、そのためにコンクリートの”はつり”を手作業で行っている時の様子です。
住宅の正面玄関前を通る道路は交通量が多いため、作業車をはみ出させたまま解体工事を進めていくことは難しいです。
ちなみに上の写真の状況は、重機の稼働中ではなく稼働させる”直前”です。
脚立に座っている作業員が、ガス切り(手作業)で鉄骨を切り離しています。
一部の鉄骨さえ撤去すれば、あとは重機で正面から建物を削るようにして、どんどん素早く解体が進みそうでした。
住宅の内部については、ほぼ解体・整理が完了していたので、解体を進めること自体は、そこまで難しい作業にはなりませんでした。
重機が1台おさまるだけのスペースを、速やかに確保しています。
おかげで解体工事の途中からは、付近を通る方々の交通を極力妨げずに、効率よく作業を進めることができました。
外壁と鉄骨の柱を最後に残して、1階・2階部分を解体
重機を1台おさめた場所から、どんどん解体範囲を拡げていきます。
太い鉄骨が何本も見えますが、どれも基本的には後のほうまで残します。
床を抜ききったら、適宜鉄骨を切断・撤去、そしてまた新しく床を抜いて…という作業を、自立のバランスを見ながら繰り返し、どんどん住宅を小さくしました。
一般的な住宅と比較すると面積が広い(約112㎡)ので、解体で出る廃棄物の量も多かったです。
特に”木材”として分けなくてはいけない廃棄物の量が多く、上の写真のようにキレイに隙間なく積んでも、すぐにトラックの荷台がいっぱいになってしまいました。
住宅の1階・2階部分の解体が順調に進み、外壁だけの状態になりました。
ここまでの作業の流れは、木造住宅の解体順序とそう大差ありません。頑丈な鉄骨を切り離し、撤去する作業が加わっているくらいです。
「安全への配慮」と「廃棄物の搬出効率」を特に重視した、1階から地下ガレージの解体
今回の現場において、特に大変だったのは1階以下、および地下ガレージ部分の解体工程です。
重機とトラックを停める部分だけを維持して、残りの1階の床(地下ガレージの天井)を抜いていきました。
ここからは、先述した2~3mの高低差との戦いです。上の写真を見ても想像できるように、重機の操作を少し誤っただけでも、非常に危険な事故に繋がりかねません。
重機を操作する作業員、そして周囲を確認する作業員が常に合図を出し合い、安全確保を徹底しました。
急勾配の下、つまり住宅の地下ガレージ側には、もう1台別の重機を降ろしています。
地下ガレージ側に降りている重機には、1階に配置されている重機のアームが届く範囲まで、廃棄物を寄せる役目があります。
バケツリレーに近いイメージで、地下ガレージの解体で出た廃棄物を、効率よく運べるようにしました。
このように、重機に横付けしているトラックに、下で山積みになっている廃棄物をすくって載せれば、搬出効率がいいです。
上の重機が動き回る必要がないため、安全にも配慮できます。
スロープを隔てた向かいには、別の住宅が建っています。
破砕したコンクリート片などが飛んでいくなど、万が一にもの事故が起きないよう、解体した住宅を支えていた中でも、特にしっかりしていた鉄骨をあえて残し、丸太足場・防音シートの控え(支柱)にしました。
基礎コンクリートを解体・撤去し、1度施工範囲を整える
住宅の地下(ガレージの土間の下)には基礎部分が埋まっているため、掘り起こして撤去します。
基礎コンクリートの解体・撤去が完了したら、他の細かなコンクリート片を合わせて回収、この次の工程に備えて1度地下ガレージ側の地面を整えます。
残りの1階床とスロープ側のコンクリート壁を解体・撤去し、切り立った断面を整える
これまで1階に停めていた重機は撤退し、あとは地下ガレージ側からの作業に移ります。
写真は、重機・トラックを載せるために残していた1階部分を解体している時の様子です。
ここにも鉄骨が入っているので、油圧ブレーカーをアームの先に取り付けた重機で破砕・切断しました。養生のために作業員が1人立ち、周囲に目を配っています。
続いて、上の写真に赤丸で示している、スロープ側に付いたコンクリート製の壁を解体・撤去するのですが、これを取ると”切り立った崖”のように、急な断面があらわれてしまいます。
スロープを通る人が、高低差に気付かずに落下・転倒する危険がありますし、見栄えも悪いため、できるだけ緩やかな勾配をつけた状態に土を戻すことにしました。
基礎コンクリートを掘り起こした際に出た土を利用し、スロープから施工範囲内への段差がなくなるように、うまく調整しました。
もどせる土の量には上限がありますが、その限りでできるだけ全体的に勾配を緩やかにするように努めています。
地下ガレージ付き・鉄骨造2階建て住宅の解体工事が完了
以上の工程をもって、地下ガレージ付き・鉄骨造2階建て(トータル3階建て)住宅の解体工事は完了しました。
地下ガレージ付きで大きな高低差がある、あまり類を見ない現場だったので難しい箇所もありましたが、無事に無事故で滞りなく、すべての工程を進めることができました。
最初は、全ての作業を地下ガレージ側から行う案もありました。
しかしそれだと重機が動き回らなくてはならず、後の整地が大変なほど地表を踏んで荒らしてしまう可能性があります。
そこで、工事の途中まで1階側に1台の大型重機、地下ガレージ側にその他の重機を置いて、解体を進めることに決めたのですが、結果としては英断だったと思います。
無事に工事は終わりましたし、他の解体現場にも応用がきくめずらしい条件だったので、私たちにとっていい経験となりました!
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