建設会社様からのご依頼により、兵庫県尼崎市にて木造2階建ての切り離し解体工事を行いました。
施工面積は約100㎡、元は5軒がつながった長屋造りになっている建物で、今回は手前の1件分のみを切り離して解体する工事です。
まずは解体工事を実施する建物部分に足場を組んでいきます。
養生シートで全体を覆い、音やホコリが飛ばないように配慮します。
解体する部分の屋根材(スレート)は、すべて手作業で撤去します。屋根材は分別して処分するため、種類ごとに分けて撤去していきます。
次に小屋組み(木材で作った枠組み)や屋根を撤去しますが、解体は手作業です。手作業で解体することを手解体といい、騒音や隣家への影響を最小限に抑えることができます。
隣家がつながっている今回のような建物では、手解体が必要です。
小屋組みの構造は隣家にもつながっておりますが、隣家は人が住んでおり解体しません。そのため、解体境界部分で構造を切り離す作業を行います。
今回のように数軒がつながった建物の解体では、切り離し作業がよく発生します。
建物によっては、ただ切り離すだけでは、残す方の建物の構造にダメージを与えてしまうことがあります。そのため、切り離し作業の前に、残す建物の構造を十分に確認することが重要です。
また屋根を撤去している状態なので、雨から建物を守れません。作業後はすぐに養生して、残す方の建物に雨水が入らないよう留意します。
小屋組みの解体部分を切り離し、断面を養生した状態です。手前部分もこれから解体しますが、その前にすみやかにシートで養生することで雨水の侵入を防ぎます。
建物の屋根がV字になっていて、この谷部分には横樋があります。残す方の建物に降る雨はこの横樋から流れ出てきますので、解体後に影響があってはいけません。
雨樋は解体工事後に、板金屋さんで最終的な施工をします。しかし解体工事期間中に雨が降れば雨水が発生しますから、残す方の建物内に侵入しないよう、横樋につながるよう仮設の縦樋を用意します。(画像は縦樋を付ける前の状態です。)
2階部分もすべて手作業で解体して、養生した状態です。
養生シートは、建物の解体作業に合わせて、解体が進んだ部分の高さに応じて取り外していきます。
2階のスラブ(屋根構造)の一部も手作業で解体しました。写真は、建物の縁を切った状態です。
1階部分は重機で解体するため、足場を組んだり養生したりする必要があります。そのため、2階のスラブの一部を撤去します。
写真の通り、1階までしっかり養生して残す建物を保護します。
構造の縁が切れて、養生まで終わった状態です。画像には写っていませんが、同じタイミングで仮設で取り付ける縦樋の設置も完了しました。
準備が整ったので、1階部分の手前から重機で解体していきます。足場は残す建物側に設置しました。
重機を使って、奥の方までどんどん解体していきます。
土台より上を解体している状態です。
解体が進み、残っている基礎部分が出てきました。基礎も隣家とつながっているので、その部分の縁を切り、一部は手解体します。
縁を切ったところです。
隣家とつながっている部分の縁を切った後は、基礎部分も重機で解体します。
基礎部分の撤去も終わった状態です。
上の画像の穴は試掘(しくつ)でできたものです。解体では地中にゴミなどが残っていないか確認する必要があり、まれに地中から昔の廃材が出てくることもあります。そのため何か所か1mほど試掘して、障害物がないかチェックします。
試掘が完了しました。試掘で掘った穴は、この後埋め戻して平らにします。
隣家の雨水が正常に流れるように、仮設の縦樋を設置した状態です。
解体が終わったら、きれいに整地して縄を張って完了です。
土が敷地外に流れ出ないように、土留めしておきます。
今回の解体は、隣の建物とつながっている構造だったため、つながっている部分を切り離す作業が必要でした。また、屋根を撤去すると雨水が侵入する恐れがあるため、しっかりと養生しながら解体作業を進めました。
解体中も、お隣の家では普通に生活しています。騒音やホコリが影響しないよう、配慮しながら実施しました。
阿川建設では、切り離し解体工事のご依頼を多くいただいており、豊富な経験があります。