工事の種類:重力式コンクリート擁壁の撤去工事
全長約50m / 高さ約4m / 底辺の厚み約3m
工事の地域:奈良県奈良市
奈良市の宅地造成地に設置されている、重力式コンクリート擁壁の撤去工事を行いました。
高さが約4m・底辺の厚みが約3mの重力式コンクリート擁壁は、広大な敷地の中を曲がりながら、約50mも続いています。
重力式コンクリート擁壁までの斜面に敷かれた、不要なネットを処分
宅地造成地は、丘陵地のような地形の一部にあります。
そして、撤去対象の重力式コンクリート擁壁は、高低差を持つ宅地造成地内の1番高いところを、囲うように設置されていました。
低い位置から、重力式コンクリート擁壁(写真右上あたり)の位置まで、急角度の斜面になっている場所がありました。
そうした斜面には、次の工期まで斜面が崩れないよう、一時的に養生する役割のネットが敷かれています。
コンクリートとして分別する廃棄物に、ネットの切れ端が紛れ込んではいけませんし、重機のクローラーが巻き込んでも危ないので、重力式コンクリート擁壁の撤去工程に入るより先に、ネット”だけ”まとめて回収しました。
重力式コンクリート擁壁の破片が落下しないように、しっかり養生
重力式コンクリート擁壁のすぐ外側、丈夫な樹木を何本かうまく利用して、風にひるまない頑丈な丸太足場を組み立てていきます。
建物の解体工事を行う際と同様、組んだ丸太足場には防音シートを張ります。
以降、巨大なコンクリートの壁を砕いていく作業が続くため、粉塵の飛散や破砕時の振動・騒音を最小限に抑える工夫が必要でした。
先ほども述べたように、重力式コンクリート擁壁は、広大な敷地内の1番高いところにそびえ立っています。
高低差は大きく、場所によっては”断崖絶壁”に近い状態でした。
リスクヘッジのため、「実際に撤去工事にあたる当社」と「施主様」の打ち合わせでは、砕いたコンクリートの破片が斜面を転がり落ちる危険の認識、およびそれを確実に防ぐための手立て(=今回の撤去工事における入念な養生)の共有を、もれなく行っています。
重力式コンクリート擁壁は約5mごとに縁切りし、敷地の内側へ倒す
高くて重い、コンクリート擁壁をいっぺんに撤去することは、もちろんできません。
効率よく、そして安全に撤去を進めるために、約50mにわたって続く重力式コンクリート擁壁を、おおよそ5mごとに区切りました。
コンクリート擁壁を5mごとに区切る作業は、アタッチメント「油圧ブレーカ―」を取り付けた重機で行いました。
油圧ブレーカ―の接触角度には十分留意し、コンクリートの破片が吹き飛ぶことのないようにしています。
5mごとに区切ったコンクリート擁壁を、ゆっくり内側に倒す
重力式コンクリート擁壁を一部切り離すことができたら、その塊をゆっくり内側に倒します。
ちなみに今回の工事で撤去する、重力式コンクリート擁壁の断面を簡単に表すと、上の図のようになります。
地面に埋まっている部分は、土台のように広がった形状なので、そのまま内側に倒すことは”抵抗力の強さ”から難しいです。
無理に引き寄せると、倒す側の地面がえぐれるように崩れてしまいますし、必要以上の負荷で勢いづいて擁壁が倒れた場合、外側の地面がボコッと盛り上がってしまう可能性があります。
上記を防ぐために、コンクリート擁壁を内側に倒すより先に、上の図の赤丸で囲っている部分をはつって撤去しました。
上の写真でも、コンクリート擁壁の一部分が、先に削られているのか分かりやすいかと思います。
“大きな物をできるだけ無理なく倒す”ための工夫の1つです。
5mごとに区切って内側に倒したコンクリート擁壁を、搬出しやすいサイズまで小割りにする
約5mごとに切断、内側に倒した重力式コンクリート擁壁は、さらにパクラー(小割用の重機アタッチメント)で、搬出しやすい大きさまで砕きました。
スケルトンバケットを取り付けた重機で、細かくなったコンクリート片をすくいあげ、搬出用のトラックに積み込みます。
- 約5mごとに擁壁を縁切り
- 切り分けた擁壁を内側へ倒す
- 倒した擁壁をさらに細かく割る
- トラックに積み込み搬出
あとは、重力式コンクリート擁壁がなくなるまで、ここまでお話してきた流れを繰り返します。
おおかた規則的な作業ではありますが、最後まで安全面について気を緩めることはありませんでした。
目の細かいスケルトンバケットを稼働させつつ、粘土質の地面を綺麗に均して工事完了
無事、重力式コンクリート擁壁の撤去が完了したら、宅地造成地全体の整地作業に移りました。
比較的柔らかい粘土質の土が主だったので、ずるずると表面が崩れてしまわないように、しっかり締固めていきます。
石ころなど小さなサイズの異物が、地中に紛れていても取り出せるように、整地には目の細かいスケルトンバケットを使用しました。
目の細かいバケットは土が詰まりやすいので、時々は重機稼働を止めて、手作業で詰まっている部分を綺麗にしています。
重機アタッチメントの調整などの細かい作業も挟みつつ、整地を滞りなく行ったところで、約50m続く大規模コンクリート擁壁の撤去工事は完了です。
敷地が広大であるとはいえ、重機が3台同じタイミングで稼働していることには変わりないため、それぞれの重機の動きを全スタッフが把握するよう努めました。
奈良市で重力式コンクリート擁壁の撤去工事を安全に行うなら、阿川建設にお任せください。